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プロジェクトストーリー Vol.03

日本初の内陸型発電所を建設、社会に貢献。

~神鋼真岡発電所プロジェクトメンバー座談会。

プロジェクトストーリー Vol.03

KOBELCOは、製鉄事業を通じて、半世紀にわたり自家発電所運営のノウハウを蓄積してきた。2002年からは、国内最高水準の環境保全を誇る都市型発電所、神鋼神戸発電所において電力卸供給事業(IPP)を開始。現在、発電規模140万kWは、IPPとして国内最大である。

そんなKOBELCOは、現在、新たな発電所として栃木県において神鋼真岡発電所の建設プロジェクトを進めている。1号機は2019年後半、2号機は2020年前半の稼働を目標とし、つくられた電気は東京ガスに販売、同社から地域に供給される。それは、KOBELCOのIPP、あるいは複合経営が、さらに進化することだけを意味しない。
神鋼真岡発電所の真の意義とは何か。この発電所建設に関わる3名の社員に語ってもらおう。

電気設備部門のトップとして、発電所の仕組みづくりなども手がける。   ガスタービンコンバインドサイクル発電設備の主要機械の仕様を決める。   発電所建設に係わる環境アセスメントを進め、発電所の環境対策を検討する。
木村吉範 藤尾明久 東大輔

木村吉範

株式会社神戸製鋼所
電力事業企画推進本部
東日本電力プロジェクト部
設備グループ次長

工学部電気工学科卒、1986年入社

 

藤尾明久

株式会社神戸製鋼所
電力事業企画推進本部
東日本電力プロジェクト部
設備グループ次長

工学部機械工学科卒、1994年入社

 

東大輔

株式会社神戸製鋼所
電力事業企画推進本部
東日本電力プロジェクト部
環境グループ

工学部物質化学工学科卒、2009年入社

社会の為に、我々ができることは何か。

藤尾 このプロジェクトが始まったきっかけは、やっぱり、東日本大震災とその後の電力需給の逼迫でしょう。こうした事態に対して、国内最大規模のIPP事業主である当社が、何か力になれないかと考えて、このプロジェクトが始まった。

木村 それに、タイミングが合ったということだと思う。よく、発電所建設は「入口・出口・土地が大事」と言われるけれど、入口、即ち原料では、栃木県真岡市の近くに都市ガスの基幹幹線が通ることになった。また、出口、つまり送電線も、内陸の方が湾岸部に比べて新規に建設できる余地があることが分かった。

土地ということなら、真岡というのは大きいですね。真岡には、真岡製造所というアルミ・銅事業部門の拠点があって、昔からつながりが深く、行政や住民のみなさんとも良好な関係を築いてきた。そのうえでの計画発表だったので、歓迎していただいたのだと思います。

藤尾 そうだね。こういう大規模施設の建設では、何より地域の方々のご理解が重要になるからね。

木村 本当に、いろいろな条件が重なった。ただ、こういう好機を捉えられたのも、当社がエネルギー事業へ取り組むことを強く打ち出し、発電所建設予定地を積極的に検討していたからだと思うね。

内陸型+「コンパクト」な発電所という難しさ。――このプロジェクトのチャレンジャブルな点。

藤尾 このプロジェクトは、何といっても、「日本初の内陸での大規模発電所」建設というのが難しい部分でしょう。発電所の設備は、みな大きい。一番大きなボイラーは高さが30mもある。

まるでビルですね(笑)。

藤尾 そう(笑)。湾岸部にある発電所なら、船から直接運び込むことができる。一方で、内陸部に発電所がある場合、設備は一般道を使って運ぶしかない。当然、そのままでは通れないからパーツごとに分解することになるけれども、その部品を現地で組み立て、信頼性や精度を保つことができるのか、品質管理をどうするのかなど、考えなければならないことはたくさんある。

環境面でも、内陸型というのは大きいですよ。真岡で使われるガスタービンコンバインドサイクルは、発電に使う冷却水を海や川から取れないため、巨大なファンを使って空気でボイラーの蒸気を水に戻す空気冷却式復水器を採用します。

木村 音が一番の課題だね。

そうですね。周辺には住宅地もあり、環境により配慮しなければならないと思います。真岡ほどの巨大な空気冷却式復水器は国内では前例がないですから、騒音の影響を検討する為、神戸製鋼所の研究施設と共同で、シミュレーションを実施しているところで、とてもやりがいがあります。

木村 内陸型であることに加えて、「コンパクト」な発電所というのも大きなテーマ。神鋼真岡発電所は、ボイラー、タービン、発電機に加え、大きな復水器が必要であることから、限られた用地の中でコンパクトに設備を配置することが求められる。また、別の意味で組織体制もコンパクトにできればと考えている。そういった体制の中で、何十年と安定稼働し続けるために神鋼神戸発電所を参考にしつつ、機械の仕様や組織も検討している。また、組織では全員で効率よく発電所を運営していく、すなわち、全員が参加できる作業プロセスの構築とその見える化などを積極的に考えていきたい。

長いキャリアの中でも、初めてのチャレンジ。――このプロジェクトが、自分自身にもたらすもの。

私は、このプロジェクトに参加するまで、神戸製鉄所と神鋼神戸発電所の環境管理を行っていました。今回このプロジェクトに参加し、発電所の計画から運転開始まで携ることにより、多くの経験を得ることができると思います。発電所稼動後も環境担当として関わると思うので、それらの経験を活かし、これまでとはまた違った目で、業務に取り組んでいきたいです。また、その経験を、後輩たちに伝えていきたいですね。

木村 私は長年、加古川製鉄所の製鉄プロセス、そして、発電所のすべての電気・計装品――モーターから配電設備、発電機に至るまで――の運用・保全をする部門に在籍、このプロジェクトに配属される直前はその部門の室長として運営してきた。30年近いキャリアの中でも、一から組織をつくっていく経験は初めて。業務プロセスづくり、組織運営など、会社や組織をマネジメントするうえで必要な、あらゆるスキルを身に付けられると思っている。

藤尾 そうですね、会社をつくるのと同じですからね。私は、加古川製鉄所内の自家発電所更新工事にも参加していますが、このプロジェクトを終えたら、何を言われても驚かなくなっていると思っています(笑)。困難があっても、「できません」じゃなく、「考えてみよう、何かやり方があるはずだ」って言える人間に成長している気がする。

KOBELCOに、日本に、夢と糧を与えるプロジェクト。――このプロジェクトが、KOBELCOと社会にもたらすもの。

木村 当社にとって、このプロジェクトは、これから数十年後のKOBELCOのビジネスの基軸となるだろう。発電所ができあがった暁には、KOBELCOの将来を担う人材を育成できているはず。その喜びを、5年後に味わえるに違いないと、期待しているんだ。

地域に与える影響ということで言うと、神鋼真岡発電所が完成すれば、栃木県の過去最大電力の約4割に匹敵する電力を発電できます。県内のエネルギー自給率向上や、電力の需給バランス向上に大きく寄与できるでしょう。

藤尾 社会への影響という点でも、「内陸型発電所」の意義は大きいよね。

今まで湾岸部に集中していた大規模発電所を、分散できますからね。それは、関東地区の電力送電網の系統全体にとっても、国のエネルギーインフラ全体にとっても好ましい結果をもたらすはず。国が進める国土強靭化の一助にもなりえます。

藤尾 内陸でも発電所が建設できることを我々が示すことで、「発電所は湾岸になければ」という意識の変革につながればいいね。広域パイプライン整備など、日本のエネルギー・サプライチェーンの再構築に議論が広がるのを期待していますよ。

木村 そうだね。KOBELCOだけじゃなく、日本にも、将来の夢と糧を与えるプロジェクト。そういう誇りを持って、みんなにもこのプロジェクトに取り組んでもらいたいね。

TOPICS

神鋼神戸発電所は、2002年4月に1号機、2004年4月に2号機が運転を開始し、140万kWの発電規模をほこる。この140万kWは、神戸市のピーク需要のおよそ70%をまかなう規模である。また、2019~20年度稼働目標の神鋼真岡発電所に加え、2021~22年度にも神戸製鉄所内に新たに火力発電所を建設、稼働予定。全拠点の発電規模は計390万kWとなる。


神戸製鋼グループは、「素材」と「機械」の2本柱に加え、電力供給事業を安定収益基盤として拡大していく。